気づいて欲しい細かいトコロ。

6/26いすのまちのコッシーDVD「ひとりぼっちのコッシー」発売記念特集

気づいて欲しい細かいトコロ。  夏川憲介(絵コンテ・アニメ演出)

アニメ演出は、脚本を読み込んで絵コンテを切り、カメラアングルを決め、コッシーたちの「演技指導」をし、最終的なコマ割りの調整をします。絵作りの面での責任者です。

「いすのまちのコッシー」は繰り返し放送されることが前提なので、何回見ても新しい発見がある様、あまり目立たない部分にも細かい造形が施されていたりします。どこをとっても、造形のもち川幸範さん、美術の山下知恵さんの技がキラリと光っています。

ですので「放送で見たからいいや」という方でも、いやいやDVDには更なる「みいつけた!」があるんですよと、自信を持っておススメいたします!という露骨な商魂をお見せしたところで、個別にご紹介いたします。

長いですので、お時間のある時にお読みください。

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あたま屋さんのあたまカタログ

「おとこまえ いっちょう」より。モタレイ夫人の経営するあたま屋さんは、壁一面にヘアカタログならぬあたまカタログの写真が貼ってあります。よくみると、あのイスやこのイスがあたまモデルを務めています。こういうのをベタベタ貼ることで「画面が持つ」というのもあるのですが、なによりもお洒落になりすぎず「いなたさ」が醸し出されます。

このお話は制作順でいうと第2話なので、演出としては「この先作るものはお洒落なもんにはしないよ」という意思表示なのです。と言っては大袈裟ですね。実際は僕自身、センスがダサいのです。

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テーラー・スキマの足踏ミシン

「テーラー・スキマ」より。古い足踏み式のミシンを、とお願いしたら驚異的なクオリティで上がってきました。こういうものを、あえてサラリと、画面の端に配置します。時にはフォーカスさえ合わせずに。そうすることで、世界に奥行きが出る…と思います。作ってくれたもち川さんには申し訳ないのですが…。

ちなみに、僕の祖母の家にあるミシンにそっくりです。たぶん昭和初期のものなのですが、なんと現役で使っているのです。

アーダとコーダがこれをどう使っているのかは…謎です!

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ジョーブ医院の医療系ポスター

「コシリ」より。病院って、いろんなポスターが貼ってありますよね。小さな病院であればある程、壁面が埋め尽くされているような。ジョーブ医院はそこまで一杯じゃないですが、やはりいろいろ貼ってあります。

このポスターは、イスの血流が図解されていますね。こんな風になっているわけが無いとは思いますが(笑)

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ホネーキン博士の実験ロケット

「アツイ!かくれんぼ」より。こどもたちがかくれんぼであそぶ広場でいったい何の実験をしてるのかはさておき、発射台もロケットも、ちゃんとイスの形になっています。
お子さんに「あれはなに?」と聞かれたら「花火だよ」と教えてあげてください。

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ネズイズに化けて驚かすカピイ

「カピイまちへゆく」より。キャプションに「カピィ」と書いてしまいましたが「カピイ」が正しいようです。直すの面倒なのでご勘弁を!

コッシーたちのおやつを失敬しようとしていたネズイスが何とも可愛いのですが、ネズミに化けるカピイもなかなか可愛いのです、ちゃんとお皿もついています。

ちなみに、動物イスは基本的に「顔が背もたれ正面についていない」のが特徴です(例外アリ)。

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クルット便の荷物に付いた荷札

「おとどけ!クルットびん」より。いすのまちは「作品内では既存の文字を使わない」というルールがあるので、宅配の伝票もこのような形になりました。画像は、冒頭でクルットさんがコッシーに渡した荷物に付いていたもの。誰からの荷物か、わかりますよね。

 お話的には、クルットさんの駄目っぷりが目立つ回でした。彼は毎回息を切らせてたり休ませてくれと主張したりで、体力の無さが際立っています。これで世界的なダンサーだなんて…と誰もが思うところですが、さて本当のところはどうなのでしょう?その辺りも今後描かれるかもしれません。ひとつハッキリしているのは、彼はこどもと本気になって遊ぶタイプの大人だということです。

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チョコンとノビーが指してた駒

「ひとりぼっちのコッシー」より。この二人は基本はインドア派なんですね。コッシーやレグに誘われない場合は、こうやって部屋で遊んでいるんじゃないでしょうか。

チェス風のゲームしていますが、駒はちゃんとイス型です。キング、ビショップ、ナイト、ポーンがあります。一応、駒の動かし方も決めて撮影しました。まあ、見ていても全然わからないのですが。

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いざ遊びたいダサい超合金ロボ

「いざ!おとまりかい」より。このお話は小物が多くて見所が沢山なのですが、僕が一番気に入っているのがこの「いざ、オモチャで遊びたいとき」のロボです。いすのまちのテレビでロボットアニメがやっているとしたら…?と想像し、その上で「アニメとちょっと違っちゃってる玩具」として作ってもらいました。平たく言えばいすのまち版の「コレジャナイロボ」です。でもチョコンは気に入ってるんですよ。

このお話ではチョコンがゴチャゴチャと余計なものを持ってきてしまうタイプの子であること、だけど肝心な部分ではちょっと抜けていること、知的だけど繊細で神経質な面があることを描けました。これがあったので、「チョコンかぜをひく」での彼の部屋の様子や、「ゆきのまち」でひとりだけ大荷物な描写に繋がりました。こうやって複数のお話にまたがってキャラクターを深めていけるのが、いすのまちの面白いところです。

あ、どっちも今回のDVDに入ってない…。DVD第4弾にご期待ください。

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スミレさんちの朝ごはんの納豆

デテコイス「スミレさん」より。スミレさんちの、と書きましたが「アラおいしそう」なんて言っているので、よその朝ごはんなのかも?

一瞬しか映らないのですが、この和食の朝ごはん、本当に精巧にできていて美味しそうなのです。特に納豆が粘り気を感じさせて、においまでしてきそうです(実物はちゃんと固まっています)。スミレさんは何となく洋風の装いなので、朝はトーストにコーヒーかと思いきや、というところが面白いですね。

造形してくれたのは、イラストレーターとしても活躍する菅野恵さん
です。

このお話、イメージカットでニワトリが出てくるのですが、つい普通のニワトリを描いてしまいました。いすのまちならではのニワトリにするべきだったかな、と引っかかっているのですが、イス型の鳥を描いて「これがこの世界でのニワトリですよ」と説明するのも主題とは違いますし、やはりこれで良かったのかなあ…とブツブツ言いながら、二本目のレッドブルを開けるのです。

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長々と書いてきましたが、今回取り上げていないお話にも、紹介したい細部が沢山あります。この記事を読んで「え、そんなだったっけ?」と思った方は是非、6月26日(水)発売のDVD

「ひとりぼっちのコッシー」

をお手に取っていただき、繰り返しお楽しみいただければと思います。

あのう、おもしろいです。きっと。


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